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東北・宮城のクラフトビール市場に新風 仙台市中心部の醸造所「BATSUJI BREWING」
醸造所を「造る」 マルクス・ルツィンスキー代表に聞く(株式会社BET)
Published : 2021年9月3日

 

味、香り、色合い…。個性豊かなクラフトビールが各地で作られ、時代は「ご当地ビールブーム」です。40を超える醸造所がある東北で今夏、新たに名乗りを上げるのが、「BATSUJI BREWING」(バツジ・ブリューイング)。仙台市の中心市街地では初の本格醸造所となる施設は、青葉区大町の複合施設「CROSS B PLUS」(クロス・ビー・プラス)内に整備されました。8月上旬にも仕込みが始まり、完成次第、併設のレストランで、「メイド・イン・仙台」の新しいビールが楽しめます。製造をサポートするドイツ国家認定の「ブラウマイスター」で、「BATSUJI BREWING」の施設整備を手掛けるBET(東京)代表のマルクス・ルツィンスキーさん(50)に、仙台生まれのビールへの期待などを聞きました。

 

◇「このブルワリーのために全てカスタムメード」

―「BATSUJI BREWING」の設備の特徴は

「BATSUJI BREWING」の設備は、プランニングやデザインに半年以上をかけ、すべてカスタムメードで造っています。タンクやパイプ接続の位置も自由に決めることができ、作り手側のリクエストにも柔軟に応えられるところが強みです。部品も世界各国の一流メーカー品を使っているので、長持ちしますし、使いやすい。エコでサステナブルな設備になっているところも特徴です。

 

醸造所内には300㍑の発酵タンクが6本あります。仕込みは一度に300リットルまで対応できるように、仕込み釜や麦芽の粉砕機を整えました。これまで弊社が手掛けてきたブルワリーで例えると、天王洲T.Y.HARBOR BREWERY(東京)や、Mt. Fuji Brewing(静岡)と同じくらいの大きさです。弊社は東北ではベアレン醸造所(岩手)の雫石新工場も手掛けましたので、東北のビール作りにも携わってきた実績があります。

 

 

◇「ちゃんとした設備といい酵母が一番大切」

―ビール作りのポイントは

まずは、設備が、「作りたいビールの姿」と合っているかどうかです。そして衛生面には最新の注意を配ることです。次は原材料です。特に酵母は重要です。ビールのまろやかな泡や炭酸の弾け具合、フルーティーな香りなど、すべては酵母に左右されるといっても過言ではありません。液体酵母は、乾燥酵母に比べて価格は高いですが、味やフレーバーが乾燥酵母とは全然違います。ここでも液体酵母をぜいたくに使い、質の高いビールを醸します。

最後はブリュワー(作り手)のスキルですね。設備、酵母、作り手のスキル、どれか一つでも欠けたら、おいしいクラフトビールは作り出せないでしょう。

 

◇「BATSUJI BREWINGのビジネスチャンス大きい」

―仙台市中心部にブルワリーができることをどのように捉えていますか

「BATSUJI BREWING」は、仙台の中心部にあり、ロケーションは抜群です。ビジネスチャンスは大きいと思います。レストランのデザインも素晴らしく、新しいクラフトビールの「育て役」にもなってくれるでしょう。可能性はたくさんあると感じています。東北や新潟の食材を使ったビールを作って、街を盛り上げていってほしいですね。